結婚してから住んだのは、都内の中古のマンションでした。夫の会社は社宅が無い代わりに、一定額の家賃補助があります。それに見合うようなマンションを自分で探し、そちらに2年ほど住んでいました。都内の閑静な住宅街で間取りは狭かったのですが、夫婦2人にはちょうどいいサイズでした。
静かな環境であることと、南向きで日当たりがとてもよかったので、私はこのマンションが大好きでした。

しかし、2年経ったころ、夫の会社の家賃補助がなくなることになり、このマンションを出なくてはならなくなりました。私たちはとても
困り、他の賃貸物件なども探して見たのですが、全額自費で払えるような金額ではありません。夫は一人暮らしが長かったので、そこそこ貯金をしていました。ですから家賃をずっと払い続けるよりも、思い切って家を買おうかという話になりました。

それからは賃貸物件を探すのは止めて、売買物件を探し始めました。何せ二人共家を買うのは初めてなので、どうやって探せばいいのか分かりません。
バブル期だったので新築を買うのは絶対無理なので、中古マンションを探すことにしました。毎週チラシを見比べて、これはと思った物件が見つかれば不動産会社に電話をして、内見をします。夫の仕事の休みである土日を中心に、何軒ものマンションを見ましたが、日当たりがいい物件だと音がうるさかったり、静かな場所だけれど駅から遠かったり、と中々今住んでいるマンションのような所は見つかりません。

毎週チラシとにらめっこしていましたが、ある日同じマンションの他の階に売り物件が見つかりました。我が家は2階の南向きだったのですが、売り物件は3階の東向きです。探していたのは南向きだったので、向きがどうかなという迷いはありました。ですが、同じマンションだったので、早速中を見せて貰うことにしました。3階ということもありまた前が小さな公園に面していたので、見晴らしは今住んでいる所よりも格段に
よかったのです。そして今住んでいる所より1割ほど広い、というのも魅力でした。

これまで散々他のマンションを見てきて、自分たちの思うような所が見つからなかったので、今回の物件は私たちにとっては貴重なものでした。
ただ問題は値段です。バブル期まっただ中だったので、私たちが思っていた金額よりもさらに高額でした。そのマンションは築10年ほどでしたが、新築当初の値段から比べると、約2倍くらいになっています。この金額にはまいってしまいました。普通ですと手が出ない値段なのですが、幸い夫が貯めた貯金を頭金にすると、どうにか銀行からローンが組める状態になることが分かりました。これからもこの地域で暮らして行こうと思っておりましたので、思い切ってこのマンションを買うことにしました。間に立った不動産屋が「この物件を逃すと、次にこう言う物件はもう出ませんよ」と言っていたのも、私たちの気持を後押ししました。

それから銀行のローンを組んだり、登記手続きをしたり、と家を買うということは、大変な手間とお金がかかるのだということを
実感しました。住んでから実感したのは、東向きというのは朝から昼にかけてはいいけれど、午後以降は南向きのように暖かくはないのだな、ということと、公園に面して居るのは見晴らしはいいけれど、夏は花火などをする人が居るので、煙たいということです。

そして何よりショックだったのは、それからしばらくしてバブルがはじけたことです。住宅の値段はあれよあれよという間に下がってしまいました。
一生そのマンションに住み続けるのなら問題は無かったかもしれませんが、その後家族も増え、私たちには手狭になってしまいました。
4年ほどそこには住みましたが、結局そのマンションを売ってもう少し広いマンションに買い替える時には、買った時の半額近くまで値段が下がっていて、本当に大変な思いをしました。